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「そんなはずはない。私はもっと長く伸びている気がする」という人は、髪の伸びるスピードが速いと考えられます。
髪は一般に、男性よりも女性のほうが早く伸びるといわれています。
これは、女性ホルモンが髪の成長に影響しているためでしょう。
もっとも最近は、女性であっても男性と同じような状態で髪が薄くなってしまう人が増えていますが。
女性はよくご存知でしょうが、皮膚の表面には古い角質があります。
これがいつまでも表面に残っていると肌がくすんだように見えたく化粧のノリが悪くなってしまいます。
古い角質は内部で生まれた新しい細胞と入れ替わるようにしてはがれていき、このサイクルを「ターンオーバー」と呼びますがだいたい一サイクルが二十八日。
そして、歳を取るとともにかかる日数が増えていきます。
髪も皮膚の一部ですから、新陳代謝が衰えれば伸びるスピードがそれだけ遅くなるのは当然です。
髪の伸びるスピードを決めているものの一つに増殖因子があります。
増殖因子とは、細胞から分泌される小さなタンパク質です。
さまざまな種類があり、増殖に効果があるだけでなく逆にそれを抑えたり、細胞の移動にも関わっていることがわかっています。
また、濃度によって違った効果が出る場合もあります。
しかし、どの増殖因子がスピードに影響しているかは、まだはっきりとしていません。
もし増殖因子が特定できれば、強力な育毛剤ができることでしょう。
ところで髪は伸びるにまかせたままにすれば、どのくらい伸びるのでしょう。
普通はヘアサイクルの成長期は長くて七年ほどですから、せいぜい伸びても九〇センチ程度です。
ところが、ギネスブックを調べてみると、世界一長い髪の持ち主ヘタイの人で五五センチの長さになったそうです。
それで驚いていてはいけません。
世界一長いひげは、ノルウェーの人でなんと五三三センチ、髪よりもさらに長い記録が残っています。
髪が四メートルを超すには、四十年近い年月がかかるわけで、これらのタイ人はなんらかの原因で、髪の成長スピードが人並はずれて速く、かつ、成長期が長期にわたって続いたのでしょう。
日本人の髪は太くて真っ直ぐ日本人は欧米人に比べて直毛が多く、その断面は丸くてウエーブのかかった髪よくも太いということはすでに述べました。
もっとも、太い・細いといっても、道を歩いていてあの人の髪は太い、こちらの人の髪は細いとはっきりわかるのはまれです。
頭に生えそろった集合体では見分けにくい差も、たとえば、何人かの髪をそれぞれ切りとって一本ずつ白い紙の上に並べてみると一目瞭然、肉眼であっても違いが歴然とします。
ちなみに、細かい数値まで測定できるマイクロゲージや接眼ミクロメーヘターで測ってみると、次のような数値になります。
日本人の髪の太さは、おおむね〇・〇五〜〇・一五ミリとかなりの幅があり、細い髪では〇・〇五ミリ、普通の髪は〇・〇八〜〇・〇九ミリ、太い髪は〇・一二〜〇二五ミリぐらいとされています。
一人の人間の髪の太さは、一生涯同じではありません。
髪が最もよく成長する十四〜二十四歳くらいまでの間は、どんどん太くなっていきます。
しかし、髪の最盛期は男性で二十歳女性で二十五歳くらいといわれ、その時期を過ぎてしまうとだんだんと細くなっていくのが一般的です。
案外気づきませんが同じ人の髪であっても太さは一定ではありません。
太いものや細いもの、固いものからやわらかいものまで異なる性質の髪が生えています。
少し長めの髪の人であれば実感したことがあるかもしれません。
髪はすでにお話ししたとおり、毛小皮・毛皮質・毛髄質の三層からできています。
髪の固さはいちばん外側にある毛小皮の厚さによって決まります。
厚ければ固く薄ければやわらかい髪となるのです。
このほかに、髪の性質としては直毛とウエーブの違いがあげられます。
日本人を含む黄色人種は直毛が多く、黒人は縮れ毛白人は波状毛が多いとされていますが、もちろん例外はあります。
このような形状の違いは紫外線の量も影響していると思われます。
太さのついでに、髪の伸長率や強度についてもお話ししておきましょう。
髪の伸長率の実験をしたところ、四五〜五五パーセントも伸びたといいます。
ざっとー・五倍ですから、力を加えれば、かなりのところまで伸びるということです。
また、ドライヤーを使って整髪しても髪がすぐに元に戻ってしまったという経験のある人も少なくないでしょう。
これは、髪の弾力性によるものです。
伸長率が大きければ、弾力性も強いと考えられます。
健康な髪を引き抜くには、約五〇グラムの力が必要です。
それでは、髪自体は,どれぐらいの重さのものを吊りあげる力があるのでしょうか。
その強度は、二二〇〜一五〇グラムです。
髪は、毛小皮・毛皮質・毛髄質で構成されています。
そのなかで、割合がいちばん高いのが毛皮質です。
毛皮質は、繊維状タンパク質をたばねたようなものであり、成分の多くは「ヘアケラチン」と呼ばれるタンパク質です。
固さは爪と同じくらいで、熱などにも比較的強い性質を持っています。
毛皮質がつくられている間に、ヘアケラチンに含まれるシステインというアミノ酸がほかのヘアケラチン分子のシステインと化学結合(ジスフィド結合)し,ヘアケラチン分子どうしが固く結びつきます。
このようにして分子が長い繊維状に結合しあうことで、髪が固くなるのです。
逆にいえば、この固さを克服しなければ、直毛の人がウエーブヘアになるのは分子の結合を断ち切ることで髪の形を変えるものです。
引っ張るとすぐに切れてしまう髪は傷んでいると考えられます。
そのままにしておくと枝毛・切れ毛になってしまいかねません。
枝毛・切れ毛は髪の表面にあるキューティクルがはがれ、内部の細胞が壊れたく、水分が蒸発してしまってパサバサになっているために起こります。
反対に、毎朝寝グセと格闘しているというような人であれば髪の強さに関しては、あまり心配をしなくても大丈夫です。
髪の色を左右するのはメラニン。
日本人の髪の色はほとんどが濃い茶色か黒色ですが、世界を見渡せば、黒髪以外にも、白、赤、ブロンド、プラチナなどさまざまな色の髪の人がいます。
かつては、「髪はカラスの濡れ羽色」といわれ、日本では黒髪が美人の条件とされてきました。
ちなみに、歴史上の世界三大美女といえば、日本ではクレオパトラと楊貴妃と小野小町といわれ、いずれも黒い髪です。
さらにいえば『ローマの休日』でデビューし、瞬く間に世界のヒロインとなったオードリー・ヘップバーンはスレンダーな体型と黒い髪で日本でも大人気になりました。
他方、欧米コンプレックスの裏返しゆえか金髪への憧れが強くて、髪を金色に染める若い人が増えています。
最近はカラーリング剤が発達し金髪以外にもいろんな色を楽しめるようになくました。
ファッションですから、似合えばよいのでしょうが、私の目から見ると日本人の顔にはやはり黒い髪か焦げ茶色の髪が映えるように思います。
それはさておき、髪の色のもととなるのは、メラニンです。
メラニンはメラノサイトという色素細胞の中でチロシナーゼという酵素によって合成されます。
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